【ファム・ファタール
(1)運命の女性
(2)男を地獄へと導く女性
(3)男を天国へと導く女性】
顔を戻すと、再び唇の距離が1センチになった。
僕と君の唇は、さらに毎秒0.1ミリのスピードで近づいている。
「口説かなくても、『抱いて』って言う女は、いっぱいいるでしょ?」
君がそう言ったとき、もう君の唇は僕の唇に触れていた。
それでもキスは始まらなかった。
僕たちは、まだ話していた。
「簡単にモテるようになったら、男はそこまでだ。手ごわい女とつきあわないと、男は成長しないんだ」
僕の唇が、君の唇を見つめている。
君の唇が、僕の唇を見つめている。
(この本から) |